センター長コラム

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No.78「メニューの変わり目にHACCPを実施する」

★ 連載「HACCP導入、運用のコツ」 長かった夏も終わり、秋冬メニューのスタートです。今年の新メニューも追加ですね。新メニューを安全性高く、魅力も高く提供したいです。今までHACCPが進んでいなかった会社も新メニューから進めましょう。レシピの確定には、何回もの試作、試食が必要なので何回もの変更が発生するでしょう。その間にHACCPも実施しましょう。製造方法を流れ図にして、どこで安全性を担保するのか、具体的な加工法、温度や時間まで絞り込みましょう。不安の残る材料は、変更や廃止も検討しましょう。製造場所も現場検証して、交差汚染が起こらない配置になっているかを確かめましょう。 ...

2024.11.11|センター長コラム|

NO.77「HACCPと食品表示」

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(77) HACCPの手順2には、「製品説明書」の作成があります。HACCPの議論を進めるに当たって、議論の焦点をはっきりさせよう、というのが手順2です。「製品説明書」の内容は、「食品表示」いわゆる食品ラベルの内容に当たります。HACCPは製造工程での安全性を向上することに焦点が当てられているので、商品ありきのスタートです。 企業においては、市場で興味を引く独自商品の開発に力を入れます。開発担当者がHACCPの討論の経験も持っていると、開発そのものから安全の意識が入るので、製造やその後の保存における安全制御が容易になる商品へと仕上げていくことができます。開発担当者も是非とも本格的なHACCP討論を経験して、安全かつ斬新な新製品開発をして頂きたいものです。 ...

2024.10.04|センター長コラム|

NO.76「HACCPの習得は、水泳の習得と似ている」

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(76) この夏もHACCP研修会を開きました。HACCP研修を続けるうちにHACCPの習得は、水泳の習得に似ていると実感しています。泳げるようになるためには、実際に水にカラダを入れて浮く感覚を体感しないと始まりません。HACCPを書類で読んでもなかなか自分のものとはならない。「分かったつもり」にはなれるが、心底からの納得には至らない、なので肝心なところを問題にするのでなく形式的なものが見えてくる。 2日間の研修会は、水泳教室の指導員のつもりで進めます。水を怖がらないよう、自分で泳ぐ時間を長く取れるようにします。浮けるようになったら息の吸い方を教えます。順番は逆にはできないのは自明です。HACCPの書類は、泳げる人にとっては難しくないが、水に浮けない人にとっては難解きわまりないのです。今年も楽しい水泳教室でした。来年の夏には皆様も是非水泳を覚えましょう。 ...

2024.09.03|センター長コラム|

NO.75「食中毒情報は危害要因分析に使おう!」

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(75) 旭川市の令和5年の食中毒は、7件発生し患者数9名と令和4年の5件11名と比べて件数では増えている。原因は、カンピロバクター菌を原因とする食中毒が多く、他の地域での特徴と同じ傾向だ。カンピロバクターでの事故の特徴は、ごく少数の菌でも、腸内に入ってから増殖して数日後に発症となる。少数の菌だから原因や経路を明らかにすることが難しいのも特徴だ。菌の由来は、鶏肉や豚肉あるいはペットと知られている。 菌の由来と食中毒患者の間にどんな接触の線を引けるのか?食材が作業場のなかでどんな動きをしたのか?まな板、その近くの作業台や布巾、野菜や食器、具体的なものとその配置、作業していた人間の導線を考えて心配事(危害要因)をリストアップしよう。現場も見ながらリストアップする。 ...

2024.08.02|センター長コラム|

NO.74「食品関係者に必須の微生物の知識」

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(74) 昨今のニュースを見ても、相変わらずの食中毒事故が目に入る。北九州市の飲食店で会食した高校生と保護者などのグループ63人のうち、35人が下痢などの症状を訴えた。保健所は、カンピロバクターによる集団食中毒と断定し、2日間の営業停止処分とした(6月26日)。長野市内の寮では、食事を食べた125人が下痢や腹痛の症状を訴えた。保健所は、熱に強いウエルシュ菌による食中毒と断定した(6月14日)。 いずれも典型的な原因の食中毒。調理関係者が微生物への正しい知識を持っていなかった事になる。プロとしてアウトである。調理に携わる仕事に就くのに資格試験など義務づけが少ないことが原因のひとつと思う。長野の寮は、大量調理マニュアルを理解した栄養士の資格のある方が責任者だったと思うが、事故の発生はアウトだ。食中毒への防備を忘れてはならない。 ...

2024.07.03|センター長コラム|

NO.73「食品の酸性度、pH4.6が、重要な訳」

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(73) 厚生労働省の区分で、「低酸性食品」と言うのがあります。わかりにくい言葉でもあり誤解も見られます。低酸性食品の定義は、pH4.6より値の高い食品です。酸性の程度が低いので「低酸性食品」と呼ばれています。 食品の安全にとってpH4.6は大切な分かれ目なのです。これより値が低い酸性領域では、固く熱にも強い芽胞を作る微生物(なかでも毒性の強いボツリヌス菌)が成育できない領域なのです。芽胞は死んでないが発芽して生育はできないのです。 ...

2024.06.06|センター長コラム|

NO.72「機能性表示食品」とは何なのか

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(72) 報道が盛り上がった紅麹サプリメントは、機能性表示食品という法律区分の「食品」です。医薬ではありません。それでもコレステロール低下をうたっています。機能性表示食品なので消費者庁から厳しく限定された範囲での効果を記載できます。 食品なので医薬品を製造販売するよりずっと簡単な製造管理で販売されています。 ...

2024.05.08|センター長コラム|

NO.71 会社を支える見えない技術力

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(71) 安全であってほしい食品や機能性表示食品で中毒事故が起こることがある。 目で見ても見えない物質や変化が原因となる。自社で作っている商品にどんな危害が潜んでいるかを考えて、調べ、それらに対するチェック機構を作る。それを、毎日淡々と実施して、自社製品の安全を担保してゆく。そのような、社外からは見えない努力をしている社員が確保できているのかが、会社の運命を決めることがある。食素材は自然の生物であることがほとんどなので隠れた「危害を見える化」するには、基礎知識と調査力、そして分析力も必要になってくる。見かけのきれいさなどだけでなく、基本の安全力をもった会社になっていただきたい。 ...

2024.04.05|センター長コラム|

NO.70 危害・リスクの根拠を知ることが役立つ

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(70) 製造工程で、安全のために注意点を逐一挙げて、その理由を記載する。これはHACCPの原則1のやり方です。HACCPと言わずとも“注意点”を指摘するのは、いつものことでしょう。そこに根拠となる事実、測定データ、事故例、などが連動していると納得性が上がります。 野菜、穀類、動物、魚類、どの食材も、よく管理されていますが、もともと微生物と共存しています。他の物質もくっついています。どの程度の汚染があるのかは、実際の数を知っておきましょう。 ...

2024.03.04|センター長コラム|

No.69 新製品へのHACCPプラン

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(69) 冬場は、需要期へ向けての製品の改良や新製品開発の時期です。新製品では「新」のコンセプトをどのように食品として表すのか?が明確でしょうか。 コンセプトを具現化する製造工程を組み立てます。質が高く安全な食品として製造するために、新商品のHACCPを必ず実施してください。原料の種類を決めて、加工順を決めて、製造の流れ図を作ります。製造のロットサイズの設定も行います。一気に製造か、パーツに分けて製造か?中間製品をどのようにして保管するのか。設定事項は多いです。 ...

2024.02.01|センター長コラム|

No.68 危害分析は定期的にやりましょう

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(68) すべての食品企業でHACCPを実施することが法制化され、そのため、食中毒が起こるとHACCPを実施しているはずなのに、なぜ?となりそのような視点からのマスコミ方法も多くなってきました。実際のところは見に行かないと分かりませんが、紙上では、危害分析から漏れていた、とか、危害分析を忘れていたとか報道されています。 すべての工程の危害分析を定期的に繰り返してしたいものです。現場を動かしていると見えてくるものも違ってきます。初心を忘れず危害分析を定期化したいです。 ...

2024.01.10|センター長コラム|

No.67 作業一つ一つに、なぜ行うか、を明確に言える社員をつくる

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(67) HACCPは、社外に自慢する制度でも、取引先への宣伝でもありません。自社製品の安全性をより確実に高めるための経営の方法と言えます。自社を守り発展させる方法です。 会社の仕事は、社員それぞれに任された種々の仕事の集合で、毎日を回してゆきます。 たくさんの事ごとに、たくさんのやるべき事、やってはいけない事が積み上がっていきます。たくさんあれば、忘れる事も、誤解も出てきます。社員それぞれの意識も異なってきます。こんな状況もHACCP活動を始めることで解消へ向かうでしょう。 ...

2023.11.02|センター長コラム|

No.66 異常気象への心配事をリストアップしよう

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(66) 事故への予めの心配をすることが、HACCPの始まりです。心配事を見える化して、それぞれの心配事に対する具体的な対策をたてることです。今年のようにかつてないほどの暑い夏は、現場にも影響を与えます。原料受け入れから加工のそれぞれの工程、そして出荷後の食品の温度履歴、想定した範囲でしたでしょうか?連続的な記録の出来る温度ロガーで温度経過を追いかけましょう。微生物の拭き取り試験を行って、食品を扱う作業台やコンベア、そして冷蔵庫の把手や、出入り口の把手の微生物数を調べて、汚染度を調べます。温度が上がると昆虫の活動も活発化します。室温保存の食材への防虫対策、防かび対策はできていますでしょうか?たくさんの心配事が出てきます。慌てずに一つ一つ明確にしていきましょう。 旭川食品産業支援センター センター長 浅野 行蔵メルマガ:第503号(2023年10月2日発行)より ...

2023.10.06|センター長コラム|

No.65 リアルのHACCP研修会開催しました

★ 連載「HACCP導入、運用のコツ」(65) 毎年夏、恒例のHACCP研修会を開きました。CODEXのアリメンタリスに最も忠実な研修会です。世の中にHACCP関連書類はあふれていますが、CODEXの基礎を身につけていないとあふれる言葉の端端に翻弄されてしまいます。何事も基礎を身につけておくことは経営幹部とってきわめて重要です。 ...

2023.09.01|センター長コラム|

No.64 作業手順書はCCPを明確にできていますか?

★連載「HACCP導入、運用のコツ」(64) 製造作業のそれぞれの工程において、専門の社員でなくても、社員の誰が担当しても所定の作業が進むことが理想です。そのために企業は、作業手順書を作って仕事の標準化を行います。 どの製造作業をとっても前準備、本作業、後片付けを始め、起こりやすいトラブルなど、書き始めると伝えたいことだらけとなります。文章や表の欠点として、あれこれ書けば、平坦になって大事なことが見えにくくなります。動画で作業手順書を作っておられる会社もあります。これも同様のことになります。 ...

2023.08.01|センター長コラム|

No.60 HACCPでやるべきことは、記録ではなく心配性になってみること

連載「HACCP導入、運用のコツ(60)」 「HACCPでやるべきことは、記録ではなく心配性になってみること」 HACCPの導入が進んできました。中には「HACCPはわかった!要は記録を残すことなんだよね!」と答える人もおられます、が、違います。記録を残すことは、外から監視する人の視点です。本当に役立つHACCPにするコツをお伝えします。 ...

2023.04.05|センター長コラム|

No.58 HACCPチームはメンバー入れ替える

連載「HACCP導入、運用のコツ(58)」 「HACCPチームはメンバー入れ替える」 HACCPの12の手順を最初から一つ一つ丁寧に進めることは、自社の作る商品への安全への思いを具体的に形にすることになります。会社のすべての人が、HACCPの手順を具体的な商品で経験することこそ安全教育となります。 ...

2023.02.09|センター長コラム|

センター長コラム No.46

連載「HACCP導入、運用のコツ(46)」 「冬場の温度管理もHACCPで」 寒い北海道、中でも寒い旭川、朝の工場のスタートアップにも時間がかかる。加熱釜の温度上昇にも時間がかかる。加熱始めて何分という時間管理でなく、食品の実温を測定する管理にしよう。温度上昇が遅い、温度が上がりきらない、ボイラーのパワー不足と考える前に熱が無駄になっていないかを調べて見よう。蒸気バルブやジョイントの点検の後の断熱材の処理は正しくなされているか?温度を連続的に測定して電波で飛ばすタイプの測定器やスマホにつけるサーモカメラなどで以前より低価格で温度情報を得られるようになった。冬の加熱不足を無くしましょう。季節によって製造条件が大きく変わる北海道、CCP管理が重要です。 ...

2022.02.14|センター長コラム|
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