★連載「HACCP導入、運用のコツ」(75)
旭川市の令和5年の食中毒は、7件発生し患者数9名と令和4年の5件11名と比べて件数では増えている。原因は、カンピロバクター菌を原因とする食中毒が多く、他の地域での特徴と同じ傾向だ。カンピロバクターでの事故の特徴は、ごく少数の菌でも、腸内に入ってから増殖して数日後に発症となる。少数の菌だから原因や経路を明らかにすることが難しいのも特徴だ。菌の由来は、鶏肉や豚肉あるいはペットと知られている。
菌の由来と食中毒患者の間にどんな接触の線を引けるのか?食材が作業場のなかでどんな動きをしたのか?まな板、その近くの作業台や布巾、野菜や食器、具体的なものとその配置、作業していた人間の導線を考えて心配事(危害要因)をリストアップしよう。現場も見ながらリストアップする。
忙しい作業のなかで、十分な注意が払えていたか?手を洗うべきシーンで実行できていたか?まな板を洗えていたか?まな板は肉類を別にしていたか?作業した後の殺菌も決めたとおりできていたか?作業の近所に野菜など生食の食材がなかったか?
つきぬ心配事をリストアップしよう。汚染源を拡散させず確実な調理(殺菌)ができる作業手順を目指しましょう。
旭川食品産業支援センター センター長 浅野 行蔵
メルマガ:第516号(2024年8月 1日発行)より
2024.08.02