★連載「HACCP導入、運用のコツ」(73)

厚生労働省の区分で、「低酸性食品」と言うのがあります。わかりにくい言葉でもあり誤解も見られます。低酸性食品の定義は、pH4.6より値の高い食品です。酸性の程度が低いので「低酸性食品」と呼ばれています。
食品の安全にとってpH4.6は大切な分かれ目なのです。これより値が低い酸性領域では、固く熱にも強い芽胞を作る微生物(なかでも毒性の強いボツリヌス菌)が成育できない領域なのです。芽胞は死んでないが発芽して生育はできないのです。
なので、pH4.6以下の食品では、100℃以下の加熱でも(たとえば、85℃30分)商業的無菌を達成でき安全性を得られます。しかし、pH4.6より値が高く、かつ水分活性が0.94よりも高い「低酸性食品」になると殺菌条件は一気に厳しくなり121℃4分以上が不可欠となります。
食品の酸性度を上手に調整して、pH4.6以下に調整できると、軽い殺菌でも常温保存のできる包装食品が作れるのです。
pH測定を上手に実施してpHを味方につけましょう。

旭川食品産業支援センター センター長 浅野 行蔵
メルマガ:第513号(2024年6月3日発行)より

2024.06.06